Surf Realization

地球からしてみれば、人間は害虫のような存在かもしれません。木を切り倒し、海を埋め立て、地面に穴を掘り、大気に毒をまき散らす。地球に害を及ぼす生き物。
これが私たち現代人です。

でも、昔からそうだったわけではありません。長い人間の歴史からみれば、ごく最近の話です。
現代社会は、消費を続ける経済活動の上に成り立っています。そして消費社会は、少なからず環境を破壊します。
最近では環境への意識が高まりつつあり、環境問題に取り組む企業も増えています。しかし、それでもなお、人間社会は地球を蝕み続けています。
一方で、今の便利なライフスタイルを捨てる決断をするのは難しいかもしれません。

人間には知恵があります。
今までは、その知恵を生活の向上のために使ってきました。それなら意今度は、知恵と工夫によって、地球環境の持続に貢献することだって、できるはずではありませんか?

1972年 クリーンクライミング
パタゴニアの前身であるシュナイナード・イクイップメント社時代のこと。自分たちが作った道具(ピトン=岩壁に打ち込む確保用支点)が、岩場をボロボロにしている現実を目の当たりにして、クライマーとして、同時に製造者として心を痛めました。そこで、ピトンの製造販売から手を引くことを決意しました。 当時、ピトンは会社の売り上げの大部分を占めていたために、ビジネス的には大きなリスクでしたが、良心には逆らえません。 そして、「クリーンクライミング」の提言と共に、ピトンに代わる道具を発表しました。クライマーたちは、その提言の正しさをただちに理解し、以後のクライミング・スタイルは一変しました。

1985年 地球税スタート
パタゴニアの社員は、アウトドアスポーツを通じて、いつも自然に接しています。だからこそ川や海、山の汚れ、自然破壊の現実を肌身で感じていました。 そこで、今自分たちに出来ることは何かと考えた結果、会社の利益の一部を地道な草の根的な環境活動を続けるグループに寄付するようになりました。地球上でビジネスを営むことに対する、自主的な「地球税」として、今日まで続けられています。 しかし、1社では限りがあります。そこでこの趣旨を他の企業にも広く呼びかけ、2002年には自然環境保護の必要性を理解する企業によっる同盟「1% for the Planet」を設立しました。

1991年 環境への影響を調査
パタゴニアが会社として急成長していた1980年代後半、石油を原料とする製品が多かったこともあり、ウェアによる環境への影響を感じ始めていました。 そこで、製品に使用する4つの主要素材(コットン、ウール、ポリエステル、ナイロン)に関して、原料、製造、運搬、販売、消費、廃棄のすべてにわたって綿密に調査しました。 石油を原料とするポリエステルなどの化学繊維が悪影響を与えているとは予測していました。その予測は外れていませんでしたが、コットン製品がもたらす悪影響は、更に衝撃的なものでした。
調査の結果、コットンの栽培には、農薬や化学肥料、枯れ葉剤など、有毒化学薬品が大量に使われていました。そして問題なのは、コットン栽培に使われるそれらの化学薬品が生産者や畑周辺に暮らす人々に悪影響を与えていただけでなく、深刻な土壌や水質、大気の汚染を招き、野生生物に大きな悪影響をお与えていたことです。 実に全米で散布される殺虫剤の25%もがコットン栽培に使われています。
これは、1枚のコットン製Tシャツをつくるたびに、カップ1杯分(約150g)もの有毒化学薬品が使われている計算になります。
日常生活で最も親しみある繊維であるコットンは、「ピュア」で「ナチュラル」な自然素材だと考えていました。ところが調査の結果は思いもよらぬものでした。これをきっかけに、以後のさまざまな行動につながりました。

1996年 オーガニックコットンに100%転換
当時、売り上げの20%がコットン製品でした。調査の結果を踏まえて、従来の農薬を使ったコットンの代わりに、有機栽培のオーガニックコットンを選びました。しかし、当時はパタゴニアの要求を満たす品質のオーガニックコットン製生地が少なく、しかも、需要が少ないためにコスト高でした。つまり、オーガニックコットンへの転換は、ビジネス的には非常にリスクのあるものでした。
しかし、環境破壊の事実から目を反らして、従来のコットンを使い続けることはできません。そこで、1996年までに全てのコットン製品をオーガニックコットン100%に切り替えることを決断して、その通り実行しました。

1993年 ペットボトルをフリースに再生
アウトドアウェアには、軽量で耐久性があり、繊維自体が水をため込まない化学繊維の使用は不可欠です。しかし、限られた天然資源の石油を原料とすることが問題でした。そこで1993年、世界に先駆けて使用済みペットボトルをリサイクルした素材で作ったフリースを商品化することに成功しました。 その後、研究開発を重ねた結果、リサイクル・ポリエステル素材は、シェルやベースレイヤーにも使用されるようになりました。
2005年 ウェアのリサイクル開始
ペットボトルをリサイクルしてウェアを製造してきたパタゴニアの次の目標は、着古したウェアそのものをリサイクル可能にすることです。 その第一弾として、2005年からポリエステル製ベースレイヤーを回収・リサイクルし、その再生繊維で製品を製造する「つなげる糸リサイクルプログラム」をスタートさせました。リサイクルされた廃棄物を利用するだけではなく、自ら販売した製品自体を回収することで、より完全な循環型製品作りを目指します。

私たち一人ひとりができること。
私たちの消費活動が、環境に対して少なからぬ悪影響を与えているなら、企業の責任と同時に、消費者としての私たちにも責任があります。
快適な暮らしを捨て去るのは難しいかもしれませんが今までの暮らし方を、もう一度見直すことは難しくありません。